コンセプト:
新型コロナウイルス感染症の始まった2020年の東京で初めて「ステイホーム」といった状況に置かれた時、私はテレビゲームをアート作品として提示したいと思いました。
80年代のコンピュータゲーム過渡期において「ファミコン世代」と言われた子供時代を過ごした自分にとって、テレビ/ビデオゲームで遊んだ経験は私という人間を構成する大きな部分を占めているように思われます。そして大人になって技術を習得し、いつしか自分でそのゲームが作れるようになっていました。
私がゲームを作る理由の一つに、自分のやりたいゲームが世の中に存在しないから、ということがあります。既存のゲームに感じる私の不満は、そのゲーム世界に必ず目的やゴールがあって、その世界にいることをただ単純に楽しむような行為は推奨されていないということです。美しい背景や景色があってもその世界を観光するような行為はゲームもそのゲームのプレーヤーも第一義に求めるものではありません。
このゲーム「Shore」には目的もゴールはありません。作品制作当時に家から出ることを阻まれた東京で思い描いたどこかのビーチでただただとのんびりしてもらえたら嬉しいです。